化学の観点から見ると、塩づくりとは海水からの電解質の分離です。一見単純そうな作業の中にも、より効率的に塩を得るための先人の知恵がありました。
1.満潮時に海水を引き込み、きれいに浜引きされた塩田に海水をまきます。
3.上から海水を流し込み、塩を溶かしだすことで”かん水(濃い海水)”ができます。
海水の塩分濃度は3%程度ですが、この作業と天日濃縮により20%ほどにまでに濃くなります。塩水のおよその濃度はボーメ比重計で求めます。
4.得られた”かん水(濃い海水)”を釜屋の中で煮つめ、乾燥させて塩を得ます。
現在はイオン交換膜方式が主流になっていますが、昔ながらの塩田による塩づくりが日本各地で見直されており、宇多津ではこの塩田で年間2tの塩を生産されているそうです。
効率化が進んだ今だからこそ、自然状態から塩を得ることの大変さを知ることの意味は大きくなっているように感じました。また、太陽や風などの自然エネルギーを直接利用するこの方法は究極のエコとも言えます。加えて、日本での塩づくりは恵みをもたらす海がきれいであることが 前提です。東日本では、5年前の原発事故の影響で停止していた近隣の製塩業の再開が、今年5月に断念されました。本当に残念なことです。今後も日本で製塩業ができる環境が続くことを祈るばかりです。
化学部では承風祭までに、日本海の海水15kgからの塩づくりに挑戦します。